夏季大祭(金石夏まつり)
大野湊神社には金沢市無形民俗文化財に指定されている神事能、夏季大祭を毎年行っております。
神事能は昭和60年、夏季大祭は平成24年にそれぞれ文化財に指定されました。
それぞれ大野湊神社神事能奉賛会、大野湊神社夏季祭礼行事奉賛会を結成し、 伝統芸能、伝統文化の維持継承に努めています。
【 目 次 】
1. 令和6年度 大野湊神社の夏季大祭日程
令和6年度 大野湊神社の夏季大祭(金石夏まつり)の主な日程が決定しましたのでご案内します。
日付 | 時間 | 祭事・行事名 | 場所 |
8月1日(木) | 20:00 | 神遷し神事 | 大野湊神社 |
8月2日(金) | 09:30 | 出御祭 | 大野湊神社 |
10:00 | 神輿出御 | 大野湊神社 | |
11:30 | 着與祭 | 日和山仮殿 | |
17:00 | 夕御饌祭 | 日和山仮殿 | |
20:00 | 花火大会 | 金石海浜 | |
8月3日(土) | 10:00 | 夏季例祭 | 日和山仮殿 |
12:00 | 海上安全祈願祭 | 海上 | |
17:00 | 夕御饌祭 | 日和山仮殿 | |
8月4日(日) | 12:30 | 出御祭 | 日和山仮殿 |
13:00 | 神輿出御 | 日和山仮殿 | |
13:50 | お旅所到着 | 冬瓜町 | |
14:30 | お旅所出発 | 冬瓜町 | |
15:30 | お旅所到着 | 下新浜町 | |
17:00 | お祭り広場 | 金石バスターミナル付近 | |
18:50 | 神輿お見送り地点通過 | 金石街道 | |
19:00過 | 着與 | 大野湊神社 | |
着與後 | 着與祭 | 大野湊神社 |
お神輿の行列順序やお祭り広場の略図は以下をご覧ください。(すべてPDF)
令和6年8月2日_夏季大祭渡御行列順序
令和6年8月4日_夏季大祭還御行列順序
令和6年8月4日_夏季大祭お祭り広場
2. 夏季大祭の始まり
大野湊神社の夏季大祭(金石夏まつり)の由来 は、神社の縁起と深く関わっています、
大野湊神社は、神亀4年(727)陸奥の人、佐那(さな)が航海中に猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)の出現を感じ、海辺の大野庄真砂山竿林(おおのしょうまさごやまさおのはやし)に存していた神明社の傍らに一祠を建立し勧請したことをその創祀としている延喜式内社(えんぎしきないしゃ)です。
この神明社、即ち天照坐皇大御神(あまてらしますすめおおみかみ)を奉斎した社の創立年代は不詳ですが、おそらく飛鳥朝時代であると考えられています。
この猿田彦大神を合祀してより、天平元年(729)には天に達し「佐那武大明神」(さなたけだいみょうじん)の称号を賜りました。
しかし建長4年(1252)社殿が炎上したため、離宮八幡宮(現在の社地)に遷座されました。
(より詳しい由来や歴史については「由緒・歴史」をご覧ください)
つまり、当社御祭神のうち、天照大御神、猿田彦大神(佐那武大神)は元々宮腰(現:金石)に鎮座しておりましたが建長4年(1252)当時の社殿が火災に遭い、離宮八幡宮(現在の社地:寺中町)に遷座された歴史があります。
当時の宮腰(金石)の氏子の人々は遷座を悲しみ、いつの日か元の場所の海岸へお帰り願おうとしますが、海岸の浸食や経済的事由などから、なかなか実現できませんでした。
それならば、せめて年に1回は元の場所にお帰りを願い、感謝の念を捧げようということで、仮殿を浜に建ててお戻しするようになった、これが現在の大野湊神社の夏季大祭(金石夏まつり)の始まりであるといわれています。
つまり、祭礼初日の行列は、天照大御神、猿田彦大神(佐那武大神)の旧社地への里帰りであり、最終日の行列は現在の鎮座地への還幸(かんこう)ということになります。
大野湊神社の夏季大祭(別称:金石の夏祭り)はこの二柱の御祭神に金石の旧社地近くまでお神輿にてお帰りになる、云わば里帰りのお祭りです。
祭礼がいつから行われていたかは定かではありませんが、文献によれば江戸時代初期の寛永期(1624~1645)の中頃には既に行われていたことがわかります。
また、宝暦4年(1754)の「佐那武大明神御神幸行烈之次第」に記載されている行列の基本形態は現在とほとんど変わりがなく、神社の歴史と深い繋がりを持つ行事の旧態が現在にまで受け継がれていることがわかります。
夏季大祭を紹介した動画は以下よりご覧いただけます。
(金沢市公式YouTubeチャンネルCityofKanazawa)
3. 夏季大祭の概要・文化財の指定
大野湊神社の夏季大祭(金石夏まつり)は毎年8月第1日曜日を最終日とする金・土・日の3日間が祭礼日です。
また、祭礼前日の木曜日の夜に、忌火だけを灯し、御本殿に鎮まる御祭神をお神輿へとお遷しする「神遷し神事」が行われ、祭礼の準備が整います。
大野湊神社を出発したお神輿は行列を伴い、金石日和山に建てる仮殿に到着し、様々な祭典を行い氏子崇敬者の参詣をいただきます。
祭礼期間中には金石町に伝わる民俗芸能が町内を巡り、仮殿近くには露天商が賑わいをみせます。
このお神輿中心とする行列の意義は、御祭神が旧地にお帰りになり氏子町がこれを迎えることにあります。御祭神は町々の平安のさまを見届けるとともに、さらなる繁栄を導くという大野湊神社縁起さながらの行事形態を今日に伝えています。
金沢市内において行列の規模は最大級であり、厳粛な感が深く、地域の力と誇りによって受け継がれてきた後世に残していくべき貴重な行事として、祭礼全体が金沢市無形民俗文化財に指定されています。
1. 祭礼1日目(金曜日)の内容
金石の人々の願いにより神社を出発したお神輿は、行列を伴って金石の町を経由し、浜辺に建てた仮殿に遷座します。
お神輿(大神様)はここで2晩を過ごされ、その間、金石の人々は崇敬の念を捧げるべく参拝されます。
仮殿到着後、当社の故実により夏越大祓が行われます。
これはこの祭礼がかつては旧暦6月に行われていた名残りとも考えられます。
午後5時からは夕御饌祭(ゆうみけさい)という、大神様に夕食を奉る祭典を行います。
午後8時からは花火大会を開催し、皆様にお楽しみいただいます。
2. 祭礼2日目(土曜日)の内容
2日目は午前10時より夏季例祭という祭典を行います。
例祭とは、「定例の祭り」「例年行う祭り」であり、神社にとって最も重要なお祭りです。
大野湊神社の例祭は5月15日ですが、この夏季大祭は神社の由緒に関わるとても重要な祭礼でありますので、特別に夏季例祭と称します。
夏季例祭には氏子金石の各種団体長をはじめご来賓の皆様ご参列のもと、地域のさらなる発展、住民の生活の安泰、仕事の発展などを祈ります。
正午からは海上安全祈願祭です。
石川県漁業協同組合金沢支所、同金沢港支所が持ち回りで船をだし、宮司以下神職が船で沖へと向かいます。
船上に祭壇を設置し、海上安全・大漁祈願のお祭りを行います。
午後5時からは第1日目と同じく夕御饌祭を行います。
3. 祭礼3日目(日曜日)の内容
3日目は、2晩大神様にお泊りいただいた仮殿から大野湊神社へお戻りいただきます。
神様のお帰りを還幸(かんこう)といいます。
仮殿を出発したお神輿は途中、金石に古くからある町名 冬瓜町(かもりまち)の天磐櫲樟船社(あめのいわくすふねのやしろ)、下新浜町の西宮社(にしのみやしゃ)を御旅所として祭典を行いながら金石の町中をめぐります。巡るコースは年によって変更します。
金石街道の金石バスターミナル付近よりは「お祭り広場」と称し、加賀鳶や悪魔払いなどの民俗芸能がすべて集合し演技が披露されます。
また金石各町の曳山・太鼓台も集合し、祭礼の盛り上がりは最高潮を迎えます。
お神輿は木遣唄のもと、お練りと呼ばれる神輿振りを行い、お祭りの終了を惜しむように、最大の敬意を込め大野湊神社拝殿へ安置されます。
大野湊神社お帰り後は参道で悪魔払いが奉納され、夜間、静けさを取り戻した拝殿ではお神輿から大神様をもとの御本殿へとお遷しする「神遷し神事」を行い、すべての祭儀を終了します。
4. 祭礼行列と民俗芸能
夏季大祭(金石夏まつり)には、初日・3日目の神輿渡御の行列があります。
行列にはお神輿のほか、金石各町の曳山・太鼓台が供奉するほか、金石の人々によって受け継がれてきた様々な民俗芸能が奉納されます。
1. 悪魔払い
山伏が行った厄払いの祈祷を起源にもつとされています。
真言密教の要素が濃く、藩政期には当社のみならず市内一円で行われていましたが、現在は沿岸地域を中心に伝わっています。
(金石町壮年会・金石町青年団)
■KANAIWA POWER(金石町壮年会)
https://kanaiwa-power.amebaownd.com/
2. 獅子舞(金沢市無形民俗文化財)
藩政時代に庶民が武芸を隠れて行ったものが起源とも伝えられています。
棒振りが獅子を討ち取るという演舞は全国的に珍しいものです。
(金石通町獅子連)
■いいね金沢(金沢市公式ホームページ)
https://www4.city.kanazawa.lg.jp/soshikikarasagasu/bunkazaihogoka/gyomuannai/3/1/1/siteibunkazai/4/9180.html
■大野湊神社ブログ-勇壮な加賀獅子
https://oonominato.or.jp/knowledge/20130914/ ※寺中町の獅子舞です。
3. 子供奴(金沢市無形民俗文化財)
少なくとも明治20年には大野町で行われていたことが確認されている奴行列は、大野川流域の地域で継承されています。
神輿の先導をする形で進行する様子は、江戸時代の参勤交代を模したものともいわれています。
(金石御船町子供奴保存会)
■いいね金沢(金沢市公式ホームページ)
https://www4.city.kanazawa.lg.jp/soshikikarasagasu/bunkazaihogoka/gyomuannai/3/1/1/siteibunkazai/4/9181.html
4. 米上げ
神様に新米を献上する行事で、藩政期から伝わる行事のひつといわれています。
威勢のよい掛け声とともに大きく台を振り上げる迫力は圧巻です。
(金石町米上げ保存会)
5. 加賀鳶梯子登り(石川県指定無形民俗文化財)
藩政時代、火消しが梯子に登り状況や風向きを確認したことが起源とされています。
熟練の団員が、高さ6mの梯子の上で様々な演技を行います。
(金沢市第三消防団金石分団)
■金沢市消防団
https://syouboudan.city.kanazawa.ishikawa.jp/syobodan/kagatobi/history/
■いいね金沢(金沢市公式ホームページ)
https://www4.city.kanazawa.lg.jp/soshikikarasagasu/kohokochoka/gyomuannai/5/5/9/2035.html
■石川県ホームページ
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kyoiku/bunkazai/minzoku/k2-7.html#kagatobbi