平成28年を迎え、新年初の投稿です。
本年も皆様の役に立つ、神社を理解できる、神社を好きになってもらえるブログを目指します。
なにとぞお付き合いください。
さて、1月26日は文化防火デーです。
大野湊神社ではこの日に近い日曜日に金沢市金石消防署、金沢市第三消防団と協力して防火訓練を行います。
そして26日当日は鎮火祭を執り行いました。
鎮火祭とは
私たちの日々の生活において「火」の力はなくてはならないものです。
毎日の調理に火は必要ですし、たとえオール電化であったとしてもその電力は火力発電所から作られるものが多いです。
また冬の季節には体を温めるため、暗い夜は灯りのためと、生活になくてはならないものです。
一方で火はその使い方を誤ると火傷や火事の原因となりますし、
残念ながら人の命を、大切な財産を亡くする原因でもあります。
そこで火の恵みに感謝を申し上げながら、その力が荒ぶらないように祈念するのが「鎮火祭」というお祭りです。
古く奈良時代からあるともいわれ、別名「ほしずめのまつり」とも呼ばれます。
鎮火祭独特のお供え
鎮火祭では一般的な祭典と異なるお供え(神饌、神様へのお供え物)が用意されます。
まずお魚は、鯛ではなく鱈(たら)が用意されます。
鯛は「めでたい」などに通じることからお祝いの席や神事によく用いられますが、
鎮火祭は「火を鎮める」お祭りであり、鯛の赤い色は火を連想させることからお供えされません。
代わって「白」身魚である鱈がお供えされます。
同様に野菜や果物も赤色の品はお供えされません。
にんじん(赤)ではなく白菜(白)、りんご(赤)ではなくみかん(黄)などなど。
さらに、特殊神饌として「四種神宝」(よくさのかむたから)をお供えします。
平安時代に編纂された格式(現在の法律のようなもの)である「延喜式」に収録されている鎮火祭の祝詞では、イザナギが火の神のこころが荒んだときには四種神宝の力を以て鎮めよと伝えています。
この四種神宝とは「水神」「瓢」(ひさご)「埴山姫」(はにやまひめ)「川菜」の四種とされています。
「水神」は「水の神」であり「水」そのものと考えます。
「瓢」は水汲みの道具を指すといわれ、当社では「ひょうたん」を用います。
「埴山姫」は「土の神」であり「土」そのものと考えます。
「川菜」は水藻などを指すと思われますが、当社では「水菜」や「せり」を用います。
この四種とともに当社では石川県の郷土料理である「えびす」(べろべろとも言います)をあわせてお供えします。
鎮火の御札
鎮火祭では「鎮火神符」、つまり鎮火のお札をお祓いします。
各ご家庭の火の元(台所など)にお貼りいただき、家庭内での火の事故がないことを祈念します。
この鎮火神札は、節分までの間にご祈祷を受けられた方にお渡ししておりますし、社頭では初穂料300円で頒布しております。
ストーブを使用し、また乾燥する季節は火事・火災の多い季節でもあります。
ぜひ火の使用には十分ご注意ください。
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