立秋を過ぎましたが、まだまだ秋の気配は訪れません。
先日は東北・北陸・山陰地方では記録的な豪雨による被害が発生しました。
被害に見舞われたすべての皆様にお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧を願っております。
さて、もう間もなくでお盆です。
皆様はお盆休みはいかがお過ごしでしょうか?
世間では12日に出国・帰省ラッシュがピークを迎えたようです。
残念ながら大野湊神社にはお盆休みがありません。
お盆時期が近づくと「神社とお盆は関係あるのか?」と聞かれます。
「お盆 = お墓参り = お寺 ≠ 神社」の方程式が浮かんでくるからでしょう。
せっかくなので神社サイドから「お盆」について考えたいと思います。
お盆とはどんな行事なのか?
そもそも「お盆」とはどんな行事で、何をする日なのでしょうか?
一般的に「お盆」とは仏教行事である「盂蘭盆会」(うらぼんえ)を指します。
盂蘭盆会とは「地獄の苦しみをうけている人々をこの世から供養することの功徳によって、その苦しみを救いたいという行事」ということらしいです。
地獄でご先祖様が苦しんでいるのであれば助けたいと思うのは今に生きる我々の使命かもしれませんね。
であるからお盆にはお墓にいき、ご先祖様の供養をするのでしょう。
でも皆さんがお墓の前で手を合わすとき、次のことを考えませんか?
いつも見守ってくれてありがとうございます。
元気に過ごせています。ありがとうございます。
など、感謝の気持ちを伝えることはありませんでしょうか?
この感謝の気持ちでお参りすることこそ、日本古来の考え方、つまり神道的な考えなのです。
神社では先祖を敬い感謝することを「祖先崇拝」と呼びます。
実は日本のお盆とは、仏教の「先祖供養」と神道の「祖先崇拝」が混ざり合った行事なのです。
ちなみに盆踊りは供養によって先祖が救われたことの喜びを表現しているそうです。
日本独自の考え方
神社新報社が発行している「神道いろは」ではお盆について次のように紹介しています。
お盆については、多くの方が仏教の行事と考えているようですが、元来は日本固有の先祖祀りがもとになっています。
ところが、江戸時代に入り、幕府が檀家制度により、庶民の祖先供養まで仏式でおこなうよう強制したため、お盆も仏教の行事と誤解され、現在に至っているのです。神道の家庭でも、お盆の期間中は、自宅の祖霊舎を清めて、季節の物などをお供えし、家族揃ってご先祖様をお祀りします。
我が国では、古くから神祀りとともに、ご先祖様の御霊をお祀りする祖霊祭祀がおこなわれ、神と祖霊の加護により平安な生活を過ごしてきました。この神とは、自らと繋がりのあるご先祖様が徐々に昇華して神となったご存在なのです。(中略)
仏教が伝来すると、盂蘭盆会の行事が諸寺院でおこなわれるようになり、当初は僧侶の供養が中心でしたが、その後、我が国の祖霊祭祀と結びついて、ご先祖様を祀る「お盆」となりました。
祖先崇拝
祖先崇拝、または祖霊信仰とは、亡くなった祖先が生きている我々の生活に影響を与える、または与えることができると考える信仰です。
今の世に我々が生をもって活動できるのは、自分達を産んでくれた両親がいたからこそ。
そしてその両親を産んでくれた祖父母、さらにはその両親・・・と永遠に近い長さで繋がってきた命のリレーがあります。
昔から日本人はこのことに畏怖の念を感じてきました。
古くは縄文時代から環状列石による祖先崇拝を中心とした祭祀・儀礼が行われてきたことがわかっています。
あなたには何人の先祖がいるのか?
皆さんには何人のご先祖がいらっしゃるか計算したことがありますか?
そこでご両親を1世代前と考えて計算してみました。
1世代前 | 2人 | 両親 |
2世代前 | 4人 | 祖父母 |
3世代前 | 8人 | 曽祖父母 |
4世代前 | 16人 | |
5世代前 | 32人 | |
10世代前 | 1,024人 | |
20世代前 | 1,048,576人 | |
30世代前 | 1,073,741,824人 |
どうですか?
30世代前まで遡ると1,073,741,824人のご先祖様がいることがわかります。
この10億人を超えるご先祖のうち、たった1人でもいなかったら今の自分は存在しないのです。
普段からこんなにも多くのご先祖が我々の生活を見守ってくれているのです。
お盆はそんなご先祖に感謝の気持ちを伝える絶好の機会です。
ぜひお墓、仏壇、祖霊社などご先祖を祀る場所で心静かに手を合わせて感謝の気持ちを伝えてみませんか?