※この記事は、平成25年8月11日投稿を再編集したものです。

北陸地方の梅雨入り後、雨が降っていないように感じていたところ、
35度近くまで気温が上昇してきました。境内ではセミの鳴き声も聞こえ、夏の訪れを感じます。

この時節になりますと、金沢市内ではお盆を迎える家庭が増えます。
金沢では住んでいる地域によってお盆を迎える日が違います。
いわゆる新盆(しんぼん・7月15日)と旧盆(きゅうぼん・8月15日)です。
※新盆(にいぼん)はまた意味が違います。

新盆と旧盆の違い

お盆は下記で説明するように「盂蘭盆会」(うらぼんえ)が正式名称であり、旧暦7月15日に行われていました。
明治6年から我々が日常で使用する暦は新暦に切り替わりました。

様々な行事の日付が変更されたわけですが、お盆も同様です。

このときに、旧暦にならい新暦でも「7月15」に行うお盆を「新盆」(しんぼん)とし、
もともとの旧暦7月15日と同じ「季節」に行うお盆を「旧盆」(きゅうぼん)としました。
(旧暦7月は新暦8月あたりに相当します)

なぜこのような違いが生じたのかを考えますと、
おそらく新暦「7月15」には梅雨が明けていない地域も多く、特に農作業を行っている地域では忙しい時期ですので、「8月15日」のほうが都合がよかったのでしょう。

さて、そんなお盆をなぜ神社のブログで紹介するかといいますと、
お盆時期が近づくと「神社とお盆は関係あるのか?」と聞かれるからです。

神社もお盆はお休みなのか? と疑問に思う方がいらっしゃるのです。

では、お盆と神社はどんな関係にあるのでしょうか?

お墓参り

お盆とはどんな行事なのか?

そもそも「お盆」とはどんな行事で、何をする日なのでしょうか?
一般的に「お盆」とは仏教行事である「盂蘭盆会」(うらぼんえ)を指します。

盂蘭盆会とは「地獄の苦しみをうけている人々をこの世から供養することの功徳によって、その苦しみを救いたいという行事」ということらしいです。

地獄でご先祖様が苦しんでいるのであれば助けたいと思うのは今に生きる我々の使命かもしれませんね。
であるからお盆にはお墓にいき、ご先祖様の供養をするのでしょう。

でも皆さんがお墓の前で手を合わすとき、次のことを考えませんか?

いつも見守ってくれてありがとうございます。
元気に過ごせています。ありがとうございます。

など、感謝の気持ちを伝えることはありませんでしょうか?

この感謝の気持ちでお参りすることこそ、日本古来の考え方、つまり神道的な考えなのです。
神社では先祖を敬い感謝することを「祖先崇拝」と呼びます。

実は日本のお盆とは、仏教の「先祖供養」と神道の「祖先崇拝」が混ざり合った行事なのです。

盆踊り

ちなみに盆踊りは供養によって先祖が救われたことの喜びを表現しているそうです。

日本独自の考え方

神社新報社が発行している「神道いろは」ではお盆について次のように紹介しています。

お盆については、多くの方が仏教の行事と考えているようですが、元来は日本固有の先祖祀りがもとになっています。
ところが、江戸時代に入り、幕府が檀家制度により、庶民の祖先供養まで仏式でおこなうよう強制したため、お盆も仏教の行事と誤解され、現在に至っているのです。

神道の家庭でも、お盆の期間中は、自宅の祖霊舎を清めて、季節の物などをお供えし、家族揃ってご先祖様をお祀りします。
我が国では、古くから神祀りとともに、ご先祖様の御霊をお祀りする祖霊祭祀がおこなわれ、神と祖霊の加護により平安な生活を過ごしてきました。この神とは、自らと繋がりのあるご先祖様が徐々に昇華して神となったご存在なのです。

(中略)

仏教が伝来すると、盂蘭盆会の行事が諸寺院でおこなわれるようになり、当初は僧侶の供養が中心でしたが、その後、我が国の祖霊祭祀と結びついて、ご先祖様を祀る「お盆」となりました。

祖先崇拝

祖先崇拝、または祖霊信仰とは、亡くなった祖先が生きている我々の生活に影響を与える、または与えることができると考える信仰です。
今の世に我々が生をもって活動できるのは、自分達を産んでくれた両親がいたからこそ。
そしてその両親を産んでくれた祖父母、さらにはその両親・・・と永遠に近い長さで繋がってきた命のリレーがあります。
昔から日本人はこのことに畏怖の念を感じてきました。

古くは縄文時代から環状列石による祖先崇拝を中心とした祭祀・儀礼が行われてきたことがわかっています。

あなたには何人の先祖がいるのか?

皆さんには何人のご先祖がいらっしゃるか計算したことがありますか?
そこでご両親を1世代前と考えて計算してみました。

1世代前 2人 両親
2世代前 4人 祖父母
3世代前 8人 曽祖父母
4世代前 16人
5世代前 32人
10世代前 1,024人
20世代前 1,048,576人
30世代前 1,073,741,824人

どうですか?
30世代前まで遡ると1,073,741,824人のご先祖様がいることがわかります。

この10億人を超えるご先祖のうち、たった1人でもいなかったら今の自分は存在しないのです。

普段からこんなにも多くのご先祖が我々の生活を見守ってくれているのです。
お盆はそんなご先祖に感謝の気持ちを伝える絶好の機会です。

手を合わせて

ぜひお墓、仏壇、祖霊社などご先祖を祀る場所で心静かに手を合わせて感謝の気持ちを伝えてみませんか?