平成25年は神社界にとって大きな行事が二つあります。
一つは出雲大社の「平成の大遷宮」、もう一つは伊勢神宮(正式名称『神宮』)の「式年遷宮」です。
あ、「国宝 大神社展」も大きなイベントです!
出雲大社 平成の大遷宮
島根県に鎮座する出雲大社の歴史は古く、創建は神話に遡ります。
御祭神である大国主神は地上の国を統治する神でしたが、天照大御神を中心とする天上の国(高天原)の神々より、
統治権を移譲するよう求められ、その代わりに天にも届く立派な神殿の造営を大国主神は求めました。
そして完成したのが出雲大社です。
現在では「縁結びの神」として知られるのは、旧暦10月(神無月)に全国の神々が出雲の地に集まり、
「縁」について会議を開くとされることから「縁結びの神」として全国に広がりました。
ちなみに正式名称は「いずもおおやしろ」と呼びますが、一般的には「いずもたいしゃ」です。
電話をかけると「おおやしろです」と応対された記憶があります。
平成の大遷宮
そもそも遷宮(せんぐう)とは、
御祭神を祀る本殿を新築移転させたり、一時的に御神体を別の場所に移動させる祭礼を示す言葉です。
出雲大社の場合、平成20年に仮殿遷座祭を行い、今年まで本殿から御祭神を移動させていました。
そして平成25年5月10日、御神体を修理を終えた本殿にお戻しする本殿遷座祭が行われます。
出雲大社ではこの遷宮祭が行われるのが、実に60年ぶりとなります。
出雲大社は全国神社のなかでも特に崇敬を集めるお社であり、伊勢神宮同様に全国から遷宮への関心が高まっています。
ちなみにあまり理解されていないことですが、今日は本殿遷座祭であり、
境内末社などの修繕も行われており、すべての行事が終了するのは平成28年ごろとされています。
なぜ遷宮をおこなうのか?
そもそもなぜ遷宮がおこなわれるのでしょうか?
それにはいくつかの理由があります。
- 常に清浄な状態を保つため
- 技術伝承のため
常に清浄であるため
日本の神々は古来より、我々人間と同じように喜怒哀楽があるように神話にも記されています。
神様を祀る上で最も大切なことは、清浄 というものです。
清らかな空間で、清らかな場所でお祀りすることで神様の御神威が高まると考えています。
そしてそれは本殿など神社そのものの綺麗さにも関わります。
人間でも、新しい家に住んだとき、引っ越したとき、リフォームしたときなど、嬉しくて、ワクワクして、
これからの生活に希望や喜びを感じませんか?
神様も同じです。
遷宮(本殿修繕など)を行うことにより、常に清らかな空間を保ち神様に居心地よくしていただくことが大切なのです。
技術伝承のため
神社建築は一般住宅の建築技法とはかなり異なった手法で作られています。
茅葺や一切の釘を使わない建築様式など様々です。
また細かな細工も施されるなど、匠の業がなくてはならないものです。
さらに、伊勢神宮では建物建設だけではなく、宝物や装束など多くの品が作り直されます。
それらの品々は古来からの技法そのものが使われており、現在扱える人間が少なくなってきています。
そこで定期的に遷宮をおこなうことで、職人の業を次世代に繋いでいくという側面も有しています。
漏れ聞くところによるといわゆる人間国宝クラスの職人が作業にあたっているそうです。
遷宮とは信仰面、文化面の知恵と業を結集させた日本を代表するものです。
こんな機会は滅多にない!
最後に、出雲大社の遷宮、伊勢神宮の遷宮が重なることは、およそ60年に1度です。
特に伊勢神宮の式年遷宮、なかでも遷御の儀(遷座祭)の日程は、天皇陛下の御治定(ごじじょう)により決定します。
おそらくこのブログを読んでいる人には二つの遷宮が重なることは一生に一度の機会です。
どうぞ機会がありましたらご参拝していただき、日本文化の奥深さを味わってください。
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