ある日、何気なく寄せられた質問に、
「なぜ鳥居は赤色なのですか?」というものがありました。
雑誌や本などで鳥居がアイコンとして使われるときにはほとんど赤色で表記されています。
今回は鳥居の「赤色」について考えてみます。
本当に鳥居は赤色なのか?
結論から申し上げると、
鳥居がすべて赤色!ということはない
一部の鳥居は赤色ですし、赤色の鳥居は印象に残りやすいということはあるかと思いますが、
決して 『鳥居=赤色』とはなりません。
ためしにwordのクリップアートで「鳥居」と検索をかけた結果、表示された鳥居は赤色3種、茶色1種、無色(に近い色含む)4種でした。
赤色の鳥居の神社といえば・・・
そーは言っても印象に残る赤色の鳥居です。
代表的な鳥居はなんと言っても伏見稲荷大社(京都府)ではないでしょうか。
さらには日吉大社(滋賀県)の山王鳥居も立派です。
赤色にはどんな意味があるのか?
ここで最初の疑問に立ち返り、なぜ赤色なのかを調べてみました。
参考にさせていただいたのは伏見稲荷大社のWEBサイトと『神道いろは』(神社新報社)です。
伏見稲荷大社WEBサイトの「よくあるご質問」に
Q、なぜ「お稲荷さん」は「朱塗り」なの?
A、朱色は、魔力に対抗する色ともされていて、古代の宮殿や神社仏閣に多く用いられています。当社に限って云えば稲荷大神様のお力の豊穣を表す色と説明されています。
ただ、お稲荷さんだけが朱塗りではなく、朱塗りの神社は他にも多くあります。
また朱の原材料は水銀=丹です。これは昔から木材の防腐剤として使われてきました。
神道いろはでは、
朱色は生命の躍動を現すとともに、古来災厄を防ぐ色としても重視されてきました。このため古くは御殿や神社の社殿などに多く用いられており、稲荷神社の鳥居の朱色もこの影響によるものと考えられます。
つまり、赤色(朱色)の意味としては、
- 朱色が魔力・災厄を防ぐ色と考えられていた
- 神様のお力を高める役割りがある
と、いうことが言えそうです。
赤色以外にどんな色が使われているのか
赤色以外にどんな色が鳥居に使われているのか考えてみました。
白色
これは誤解されそうでこわいのですが、実際には真っ白ではありません。
木材を使用した鳥居で、かつ木の皮をはいだ鳥居の色を白色と表現しています。
正確にいうなれば「木色」でしょうか?
この色の鳥居の代表格は伊勢神宮の鳥居です。
さらには出雲大社の鳥居もこの色に含まれるでしょう。
木は年数雨風とともに劣化してきますし、表面が色濃くなってきますので、白色と表現するには抵抗がありますが、
もとを考えれば立派な白色と思われます。
さらに木以外のコンクリートや石で作られた鳥居も白色のものが多いです。
これはご存知、大野湊神社の鳥居です。
黒色
少し珍しい黒色の鳥居です。
この鳥居は野宮神社(京都府)の鳥居で、「黒木鳥居」と呼ばれています。
見たとおり木の皮をはがずに使用した鳥居で、日本で最も古い鳥居の形態であるといわれています。
色だけではなく形状にも特徴がある
今回は鳥居の色、なかでも赤色を取り上げてみましたが、画像をよく見ていただければ鳥居によって形が違うことがわかるかと思います。
日吉大社の鳥居には上に三角がついていたり、同じ白木鳥居でも伊勢神宮と出雲大社では微妙に形が違うなど。
実は鳥居の形状は多種あり、今度はそちらをご紹介したいと思います。