5月15日正午より第405回大野湊神社神事能が行われます。

神事能
金沢は昔から能楽の盛んな地域であり、「空から謡が降ってくる」といわれるほど、庶民の間でも広く親しまれていました。
また、能楽は2008年にユネスコの無形文化遺産に指定されました。

参照
■文化庁
http://www.bunka.go.jp/bunkazai/shoukai/bunka_isan.html

そんな世界に認められた能楽ですが、残念ながら正直なじみのない芸能でもあります。
能と狂言の違いも曖昧・・・という方も多いのではないでしょうか?

そこで、第405回大野湊神社神事能を見据え、初心者でも楽しめる能の世界についてご紹介します。

【目次】

  1. 能はミュージカルだ!
  2. 幽玄の世界を表現する能
  3. 能のトリビア(雑学)

 

1、能はミュージカルだ!

「能」と聞くと古臭く、何だか難しそうなイメージがありませんか?
実際鑑賞していても、何を言ってるのかよく分からないし、どんな話なのかも・・・と感じる方もいるようです。

一方、劇団四季や宝塚歌劇団などで楽しまれているミュージカル。

オペラ座の怪人
歌あり、ダンスあり、音楽ありと華やかな賑やかなイメージがないでしょうか?

でも、実は能は日本版のミュージカルと言っても過言ではないです!

こんなに似ている能とミュージカル

主役 脇役 音楽担当 歌担当
シテ ワキ 囃子方 地謡
ミュージカル 主役 脇役 楽団 コーラス

能は笛、小鼓、大鼓、太鼓から構成され音楽を担当する囃し方に、
劇中の歌を担当する地謡がいます。

同様にミュージカルには音楽を担当する楽団があり、歌を担当するバックコーラスがあります。

これらの音楽や歌に合わせて主人公が
能では舞、ミュージカルではダンスを披露し、それぞれ台詞をいいます。

どうですか?能とミュージカルはこんなにも構成が似ています。

ではそんな能の表現する世界とはどのようなものなのでしょうか?

幽玄の世界を表現する能

能を大成した世阿弥は、能とほかの芸能との違い、いわゆるブランドイメージとして「幽玄」という価値を見出しました。

著書『花鏡』において、
「ことさら当芸において、幽玄の風体第一とせり」(能では、幽玄の姿であることが、第一に大事なことである。)と述べています。
幽玄とは、「美しく柔和な姿」という意味だそうです。
音曲の美しさ、姿が美しく静に舞う姿などに幽玄を見出すことが出来ます。

能の幽玄さ

思うに、能とは
話(ストーリー)を楽しむという要素より、能舞台上で、そして観客の心の中で作り出される雰囲気というものに重きが置かれているのでしょう。

そう考えれば、「話がわかんない」「何言ってるかわかんない」と思いがちな舞台も、

「何だか分からないけど、見入ってしまう」「よくわからないけど、リラックスできる」

というふうに感じ方が変わるかもしれません。
これも能を楽しむポイントだと思います。

能のトリビア(雑学)

最後に能を楽しむための雑学を紹介します。

能面

能面に注目しよう

能は能面と呼ばれる仮面をつけています。
この能面には約60種類ぐらいあり、演目によって使い分けられています。
能面によってそのときの主人公の心情を表現するようでうすが、
いかんせん能面は常に同じ顔をしています。
そこで演者は見せる角度を使い分け、喜怒哀楽を表現しているようです。

拍手は不要?

コンサートや舞台などでは主演者の登場時、または終了後に拍手をします。
しかし能は演者の登場時に拍手は不要とされています。
また、幽玄の世界を表現するため、いつ終ったのかよくわからない・・・という終り方で観客に余韻を楽しませています。
ですので、終了後にも拍手は不要だと考えるファンも多いようです。

鏡板の松

能舞台後方に松が描かれています。
松は江戸時代にめでたい植物として大切にされていました。
一年中緑を絶やさず勢いのある木ということで、「高砂」などの祝言曲があります。

舞台下に甕(かめ)

能舞台の床下には実は甕(かめ)が設置されています。
これは能舞台上で繰り出される音をまろやかにしたり、反響する余計な音を吸収する役割りがあるそうです。
大野湊神社の能舞台改修工事の際にも床下に甕があることをしっかり確認しております!

どうでしょう?
少しは能に興味をもっていただけたでしょうか?
大野湊神社神事能は毎年5月15日と定まっており、平日開催であることがほとんどです。
お仕事などの都合で鑑賞できない方には、ぜひ石川県立能楽堂で能を楽しんでもらえればと思います。
また能の世界をもっと知りたい方はぜひ金沢能楽美術館へ。
金沢能楽美術館は日本で唯一、いや世界で唯一の能楽専門の美術館です。

■石川県立能楽堂
http://www.pref.ishikawa.lg.jp/nougakudo/nougakudoutop.html(石川県)
http://www.kanazawanohgakukai.jp/(公益社団法人金沢能楽会)

■金沢能楽美術館
http://www.kanazawa-noh-museum.gr.jp/