平成27年度 大野湊神社の夏季大祭は、7月31日から8月2日の日程で開催され無事終了いたしました。
ご参加・ご協力いただきました関係各位に厚く御礼申し上げます。
少し時間があきましたが、今年の夏季大祭の様子を紹介させていただきます。

7月30日 神遷し神事

お神輿の出発を翌日に控えた7月30日は、
ご本殿に鎮座されます天照大御神、猿田彦大神(佐那武大神)をそれぞれのお神輿へとお遷りいただく神遷し神事が斎行されました。

午後8時開始の神事に向けて、金石各町会から子ども達にも集合していただき、神事を見学してもらいます。

神遷し神事

また、神社総代をはじめお祭りにかかわる各団体にも参加をしていただきました。

神様は浄闇(暗闇)のなか、お神輿に移動していただくため、
その間は拝殿内の灯りをすべて消してしまいます。

ただ、それでは奉仕する神職の足元も見えなくなるため、忌火(いみび)と呼ばれる聖なる火で足元だけを照らします。
この火はマッチやライターで着火するのではなく、火切り具と呼ばれる道具を使って、宮司が火を熾します。

火には火の神様、火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)がいらっしゃいます。
昔の日本人は自然のありとあらゆるところ、人の力の及ばない力には神様がいらっしゃると考えていました。
このような日本人古来の考え方を子供たちに伝えるいい機会にもなっています。

無事にお神輿に神様をお遷ししたあとは、随神(ずいしん)役の任命式です。

出御

※写真は平成26年のもの

正面にいる赤い装束と、右側にいる太刀をさげた黒い装束の子供が随神です。
随神とは随身とは書かれ、平安時代より身分の高い方を警護する官人のことです。
神社では神様を守る役割として、拝殿内に随身像が置かれたり、大野湊神社では随身門として入り口を守っています。
夏季大祭ではお神輿の前に立ち、お神輿(神様)を守る大切な役割を担っています。

また、正面に洲浜紋の入った紫のハッピを着ている方がいますが、
この紫ハッピは各団体の責任者が着用するものです。

神遷し②

随神の任命式に続き、各団体長へ総代からお渡しさせていただきました。

7月31日 出御祭・着與祭・花火大祭

早朝より悪魔払い、子供奴の出発清祓を行っています。
この夏季大祭には金石町の伝統芸能・民俗芸能である悪魔払い、獅子舞、子供奴、米上げが出演しています。
詳しくは、
■金石町公民館 -伝承芸能 をご覧ください。
https://www.kanaiwamachi-kouminkan.org/%E9%87%91%E7%9F%B3%E7%94%BA%E3%81%AE%E6%A1%88%E5%86%85/%E4%BC%9D%E6%89%BF%E8%8A%B8%E8%83%BD/

なお、獅子舞は2年に1度の出演のため、今年は不参加です。

午前9時からは初老会、午前9時30分からは町民、漁業関係者の出発式です。
皆さんにはお神輿を担いでいただくので、怪我がないよう事故がないようお祈りし、
午前10時にお神輿が出発します。

お神輿と曳山

大野湊神社を出発したお神輿は金沢西警察署横を通り、金石街道へと進み出ます。

ここでは金石各町会が所有する曳山・太鼓台がお出迎えのため整列しています。
お神輿の行列は神輿を中心に約200名、曳山・太鼓台や各民俗芸能も含めると約500名の参加となります。
祭礼の規模は金沢市でも随一とされており、古くからの神輿行列の保持や伝統芸能が残っていることから、
お祭り全体が金沢市無形民俗文化財に指定されています。
人出などを考えると、市内では百万石祭りに次ぐ規模になるでしょう。

さて、お神輿は海岸近くへと進みます。

神輿行列

神様が昔、かつての鎮座地(現在の金石海岸付近)から現在の鎮座地(寺中町)に遷るときに通ったされる道順を逆に通ります。
以前は神様の仮殿(お祭り期間中の仮のお社)は浜辺に建てられていました。
画像の「大宮」はそのときの名残りともされ、神社の鳥居の役割があったそうです。
浜辺に仮殿があったときは、この大宮の先に仮殿がありました。

現在の仮殿は金石西の小高い丘の上に建てられており、
大宮をくぐったお神輿はこちらに到着します。

到着後はすぐに着與祭(ちゃくよさい)、つまりお神輿到着のお祭りを行います。
あわせて大野湊神社の伝えにならい、夏越大祓を行います。
毎年6月30日にも行っておりますが、夏季大祭初日にも夏越大祓を行います。

到着後は、皆様がご参拝にいらっしゃいます。
初穂料を持参され、家内安全などのご祈祷を受けられる方も大勢いらっしゃいます。

夜8時からは花火大会が開催されます。
と言っても、新聞社などが主催する花火とは規模がまるで違いますが、
地域の皆様に楽しんでいただければと開催しています。

花火大祭

花火の数は少ないのですが、近くの浜から打ちあがるため、凄く大きな花火になります。
また有名花火大会ほどの混雑もありませんので、十分に楽しめるかと思います。
(繰り返しますが、数は多くないので・・・)

お祭りはやはり夜のほうが参拝が多くなります。

夜の賑わい

今年は若干ですが露天商も多くなり、そして天気に恵まれたのが幸いでした。

8月1日 夏季例祭・海上安全祈願祭

夏季大祭2日目は夏季例祭です。
毎年5月15日に例祭(れいさい)を行っていますが、当社では慣例にならい夏季大祭中にも例祭を行います。
例祭とは基本1年に1度行われるもので、その神社の創建や由緒に基づく最も重要な祭典です。

夏季例祭には金石町の各団体長をはじめ、近隣神社の総代にもご参列いただき、
町・地域の発展、住民の安寧、仕事の繁栄などを神様にお祈りします。

夏季例祭終了後、宮司は漁船に乗り込み日本海上へと船で移動します。

海上へ

大野湊神社は社名にあるとおり、昔から湊(港)の守り神として信仰されてきた神社です。
夏季大祭のみならず底引き網漁やかに漁の解禁にあわせて大漁・安全を祈っています。

海上安全祈願

漁船に祭壇を設け、船上にて海上安全祈願祭を行います。
古来より船・漁に関係する人が多く住んでいた金石町ならではの祭礼です。

その間仮殿では昨日に続き、皆様のご参拝をお待ちしております。
少し空いた時間を見つけた巫女が子供と遊んでおります。

子供と遊ぶ巫女

これもまた地域とのふれあいの一環です。

ちなみに巫女後方に移っているやぐらには、金石分団の皆様が待機しています。
お神輿が仮殿にある間、こうやって分団の皆さんが火の番、警護をしてくれています。

8月2日 出御祭・お旅所・お祭り広場

最終日は、正午にお神輿が仮殿を出発します。

お神輿は金石の町中をめぐり、神様に今の金石の様子をご覧いただきます。

途中、冬瓜町(かもりまち)の天磐櫲樟船社(あめのいわくすふねのやしろ)にて休憩します。

冬瓜町
この冬瓜町の住民は古来より神様をお守りする役割が与えられており、神守(かもり)に通じています。
かつては冬瓜町だけでお神輿を担いでいたとも言われており、この夏季大祭と深いつながりのある町です。

次に、下新浜町(しもしんはままち)の西宮社(にしのみやしゃ)にて休憩です。
西宮社はいわゆる「えびす様」を祀る神社で、漁師さんの信仰の厚い神社です。
ここでお神輿は最後の休憩をとり、いよいよ金石街道、お祭り広場へと進みます。

お祭り広場

お祭り広場ではすべての民俗芸能とお神輿のお練りが披露されます。
沿道には初日同様、曳山・太鼓台がお神輿をお見送りするために待機しています。お見送りする曳山・太鼓台

曳山・太鼓台の前をお神輿が通過すると大野湊神社まで一気に進みます。

「神様がまだ帰りたくないって言っている」とお神輿を担ぐ方は進んでは戻り、木遣唄を歌いながら威勢よく担ぎます。
まさに夏季大祭のクライマックスともいうべき場面です。

お神輿は大野湊神社に無事到着した後は、参道にて悪魔払いの奉納があり、
皆さんが帰路についてから、静まった社殿では神様にご本殿へとお戻りいただく神遷し神事が行われます。

そして今年の夏季大祭が無事終わりとなります。

大勢の皆様にご協力いただき、この夏季大祭は成立しております。
冒頭でも申し上げましたが、改めて御礼申し上げます。