お神札をまつろうシリーズ 第2回目は「神棚の選び方や向きは?」
【過去記事】
第1回「神宮大麻・氏神神社・崇敬神社の違いとは?」

神宮大麻や神社神札を受けたら、ぜひ神棚におまつりしましょう。
神棚とは、いわば家庭内・会社内にもうける小型の神社です。

【目次】

神棚の選び方

神具店・ホームセンターなどで神棚の用意がありますし、最近ではネットショッピングで手に入れることができます。
選ぶ上で第一に検討することは設置を予定している場所に置ける大きさであるかどうかです。
神棚を設置するに相応しい場所については後述します。
次に神棚のデザインを選びます。
ただ、神棚にもいくつか種類がありますので、どれを選べばよいか迷う方も多くいます。

神棚には、①扉の数 ②屋根の材質・形状 などによって大きく種類分けすることができます。

扉の数

正面から見たときの扉の数により 一社造りと三社造り に分けることができます。
(ほかに五社造り、七社造りなどもあります。)

一社造り

一社造り

一社造りは正面から見て扉が一箇所のものです。
お神札は手前から神宮大麻、氏神神社、崇敬神社の順に重ねておまつりします。

三社造り

三社造り

三社造りは正面から見て扉が三箇所あるものです。
お神札は、中央に神宮大麻、向って右側に氏神神社、向って左側に崇敬神社をおまつりします。

詳しくは お神札をまつろう①神宮大麻・氏神神社・崇敬神社の違いとは? をご覧ください。

一社造りと三社造り、どちらが良い悪いはありません。
当然ながら三社造りのほうが横幅が広くなります。
設置を考えている場所によって、一社造りか三社造りを選んでいただきます。

屋根の材質・形状

屋根の材質で比べると、茅葺き(かやぶき)、板葺き(いたぶき)などがあります。

茅葺き

茅葺き

板葺き

板葺き

茅葺きのほうは本格的な、板葺きのほうはシンプルな印象を与えます。
これも良し悪しではなく、お好きに選んでいただいて結構です。
ただ、お手入れを考えると板葺きのほうがお手入れしやすいように思います。

屋根の形状は、通し屋根、違い屋根、箱宮などがあります。

通し屋根・茅葺き三社造り

通し屋根

屋根違い三社造り

屋根違い

箱宮

箱宮

これも形状による良し悪しはありません。
通し屋根はすっきりとした印象を与え、お手入れなども楽です。
違い屋根は豪華で立派な印象を与え、本格的な感じがします。
箱宮は当社でも人気の神棚で、シンプルと本格が交じり合いお手入れしやすいです。

まとめ

神棚を選ぶ基準は、まず設置場所の広さ、高さを重視してください。
また必ずお神札が入る大きさを選びましょう。
神棚はお神札をいれてまつるためのものです。肝心のお神札が入らないなどないようにご注意ください。
造りや材質・形状は好みもありますし、皆さんがお参りして心地よいものを選ばれたほうがよいでしょう。

神棚を設置する場所・向きの注意点

神棚を選ぶ基準として設置場所の広さや高さが大切と書きましたが、
実際にどのような場所に神棚を設置するのがよいのでしょうか。

設置場所として考えて欲しいことは、以下の点です。

  • お参りしやすい場所かどうか
  • 明るく清浄な場所かどうか
  • 目線より高い場所かどうか

お参りしやすい場所かどうか

神棚にお神札をおまつりして、それでお終い・・・というものではありません。
毎日神棚に向かい手を合わせることが大切です。
そのため、お参りしやすい場所かどうかが重要です。

浴室、トイレ、キッチンの奥などは家族揃ってお参りができる場所かと考えるとやはり相応しい場所とはいえません。
ですので一般的にはリビングや和室など明るく皆さんが集まりやすい場所を選ばれたほうがよいでしょう。
会社や工場の場合も同様で、なるべく皆さんが落ち着いてお参りできる場所を選びましょう。

明るく清浄な場所かどうか

神様は明るく清浄な場所というものを好みます。
神棚にまつるお神札は神様の御分霊ですので、同様に清らかな場所を選びます。
お参りしやすいかどうかとも関連しますが、
押入れの中などの暗い場所やトイレなど不浄な場所は避けましょう。

目線より高いかどうか

神棚は基本的に目線より高い場所に設置しましょう。
神様は尊い存在です。
目線より低い場所におくことは見下げる、つまり軽んじるにもつながります。

ここは避けたほうがよい

神棚設置に適したリビングや和室でもなるべく避けたほうがよいという個所があります。

  • 出入口の真上
  • 仏壇の向い
  • 神棚の上の階がトイレ・廊下

出入口の真上

ここはリビングや和室のなかでも比較的人の出入りが多く、決して落ちつく場所とはいえません。
また尊い神様をまつる神棚を、部屋の中でも下座に設置することがよいこととは思えません。

仏壇の向い

「神棚と仏壇は同じ部屋にしてはいけない」とおっしゃる方もいますが、
あまり気にする必要なないと思います。
かつては神仏習合といい、神道と仏教が混じり合った時代があり、神宮寺や鎮守社のように、
仏様を守る神様、神様を守る仏様もありました。
ですので神棚と仏壇を同じ部屋に置くことに問題はないと思います。
ただし、向かい合わせでおまつりすることは避けたほうがよいでしょう。
それは神棚をお参りするときには仏壇に、仏壇をお参りするときには神棚に、
それぞれ「お尻」を向けることになります。
お尻を向ける行為は失礼にあたるとされていますので、向かい合わせは避けましょう。

神棚の上の階がトイレ・廊下

そもそも神棚の上を人が通る(間接的に神棚を踏みつける)ということが失礼にあたるとされています。
ただ、最近の住宅は二階建てが多く、またマンションなどのように高層住宅では真上を人が通らないようにするなど不可能に近いでしょう。
真上を人が通るので神棚は置かない、というより、真上に人が通るけどそれでも丁重に扱う、ということが肝心です。
場所的に神棚の上に部屋などがある場合には神棚の真上の天井に「雲」などと書いた紙を貼ります。

ただ、それでもトイレ・廊下の真下は避けたほうがよいでしょう。
人でもトイレの真下に住むことが居心地良いと感じる人は少ないのではないでしょうか?
また廊下も人の動きが多い場所で決して落ち着く場所ではありません。

神棚の向き

次に神棚の向きについて説明します。
ちなみに 神棚の向き=お神札の向き です。

神棚は南向き、または東向きがよい

神棚は一般的に南向き、または東向きに設置します。
神棚の正面(お神札の正面)が南・東を向くということであり、
お参りする私達は北向き、または西向きにお参りすることになります。

農耕民族である日本人は昔から太陽の動きをとても大切にしてきました。
東は太陽が昇る方角であり、はじまりを示す方角です。
南は太陽の日差しが最も降り注ぐ方角です。

中国では「天子南面」、北に在って南に向うことが君主の地位を象徴するものと尊ばれてきましたが、
日本でもその思想を受け、古くから祭事などにおいて特に重要な方角とされていました。
日本各地に鎮座する神社も基本的に南向き、東向きにお社が建てられています。

また必ずしも建物の東西南北がまっすぐになるとは限りません。
その場合は南東、南南東などを選ばれるとよいでしょう。

ただし、西向き、北向きにしてはいけない理由はありません。
南・東向きが難しい場合には、西向き・北向きに設置されればよいでしょう。

まとめ

神棚は皆さんがお参りしやすい場所を選んで設置しましょう。
その際、なるべく神棚が南・東向きになるようにするとなお良いでしょう。
少し不敬な考え方ですが、自分自身が食事・就寝をするのであればどんな場所がいいか想像してください。
トイレで食事したいですか?お風呂で寝たいですか?
なるべく日当たりのいい部屋で過ごしたくないですか?

神棚がない場合

神社でお神札をいただいたけれど、神棚がない場合はどうすればいいかと悩む方もいます。
基本的な考え方は神棚の設置と同じです。
皆さんがお参りしやすい場所をまず考え、その上で目線より高い場所であるとか、お神札の向きを検討します。

目線より高い場所ですので、戸棚やタンスの上、鴨居などが候補になると思います。
戸棚やタンスの上であればまずはそこを綺麗に掃除しましょう。
次にお神札が倒れないように壁に立て掛けたりします。
お神札が家具に直接触れないように半紙などを敷くとよりいいでしょう。

注意点としてお神札を画鋲などで壁に貼り付けることはやめましょう。
穴をあけるのはもっての他です。
お神札は神様の御分霊、いわば神様そのものですので、
その神様を壁に貼り付ける、穴をあけて吊るすなどは失礼になります。
※火難除のように台所等に貼っていただくお神札もあります。詳しくは神社までお問合わせください。

このように例え神棚がなくてもお神札をまつることは可能ですが、
なるべく神棚を用意されたほうがよろしいかと思います。